(1)64歳までの在職老齢年金
60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受給している人が、
厚生年金保険に加入している場合は、
まず、年金額の2割が削減されます。
さらに、この削減された年金額(基本月額)と
年収の月額平均額(総報酬月額相当額)との合計額が28万円を超えると、
超えた額の半分に相当する額が年金額から差し引かれます(注3)。
加給年金は、老齢厚生年金が一部でも支給されれば、全額支給されます。
ただし、平成17年4月からは、この2割カットが廃止されます。
(注1) |
基本月額=加給年金を除いた老齢厚生年金額×0.8÷12 |
(注2) |
総報酬月額相当額
=その月の標準報酬月額+その月以前の1年間に受けた賞与総額÷12 |
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(注3)〔例〕
平成16年3月までの年金額との比較(年金月額16万円の人の場合)
総報酬月額相当額等 |
平成16年4月から
平成17年3月までの
年金額(月額) |
勤めない(厚生年金に加入しない)場合
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160,000円 |
20万円(賞与なし) |
104,000円 |
24万円
(賃金20万円+年間賞与48万円) |
84,000円 |
26万円
(賃金20万円+年間賞与72万円) |
74,000円 |
30万円
(賃金20万円+年間賞与120万円) |
54,000円 |
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(2) 65歳から70歳未満の在職老齢年金
老齢厚生年金を受給している人が、厚生年金保険に加入している場合は、
年金月額(加給年金を除く)と年収の月額平均額(総報酬月額相当額)の合計額が48万円に達するまで、
老齢厚生年金は全額支給されます。
その合計額が48万円を超えると、超えた額の半分に相当する額が年金月額から差し引かれます。
64歳までの在職老齢年金のような2割のカットはありません。
65歳未満の在職老齢年金停止額(月額)
①年金額の20%が支給停止されます。 |
②①の残りの80%の年金額(基本月額)と総報酬月額相当額との合計額が28万円を超えるときには、①の20%の支給停止に加えてさらに次の額が支給停止されます。 |
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総報酬月額相当額とは、老齢厚生年金の受給権者が被保険者になった月の標準報酬月額と、
被保険者になった月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った額の合計額となります。 |
1回の標準賞与額は150万円が上限です。 |
◆65歳以上70歳未満の場合 |
①総報酬月額相当額と基本月額(60歳台後半は、
老齢厚生年金額の12分の1の額)との合計額が48万円以下のときは、支給停止されません。 |
②合計額が48万円を超えるときは、超えた額の2分の1の額が支給停止されます。 |
老齢厚生年金の額(加給年金を除いた額)………月額15万円 |
総報酬月額相当額………………………………………50万円 |
{(15万円+50万円)-48万円}÷2=8万5,000円 |
支給される年金
⇒15万円-8万5,000円=6万5,000円 |
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なお、老齢基礎年金は支給停止されず、全額支給されます。また、加給年金は、上記(1)の65歳までの在職老齢年金と同じく、老齢厚生年金が一部でも支給されれば、全額支給されます。
※支給停止が行われない場合
平成14年4月1日前に65歳(昭和12年4月1日以前生まれ)に到達していて、老齢厚生年金を受給する権利を有している人については、調整は行われません。
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